REPORT
2021.01.07

重度障がい者×ニンテンドースイッチ at. Myself

重度の障がいがあっても、自分の力でゲームを楽しみたい!
そんな願いを実現するためには・・・

こんにちは!
Myselfです。

Myselfでは以前紹介したように、重度の障がいがあるスタッフ(利用者)が自分の力でゲームを楽しむことができる取り組み、『eスポーツ活動』を定期的に行っています。

レポート記事:eスポーツ活動at.Myself

本格的な“eスポーツ”と呼ぶにはまだまだな点も多いですが、
スタッフの皆さんが自分の力で勝ち負けを楽しめる、チームワークを育めるように進めています。

一方で、自分の力で楽しんでいただくためにはただ標準のコントローラーを手に取ってもらえばいいわけではありません。
スタッフそれぞれの障がいに合わせたインターフェイスを準備する必要があります。

パッド型のコントローラを握って細かい操作が難しい方のために、ボタンを大きく押しやすくしたアーケードスティックを用意しました。
片麻痺で両手での操作が難しい方のためにマウス操作でゲームを出来る環境も作りました。
ですが、マウスやスティックでも既存の商品では、それでもなかなか思うように操作することが難しいという課題があり、結局は職員が横からサポートすることもしばしばで。
職員が操作するのを手伝うと、結局スタッフは見ているだけみたいな状況に陥ることもありました。

簡単な操作でもいい、本人たちが手助けの必要なく自分の力だけでゲームを楽しむ。
これだけのことを実現させるのが難しい。
そんな悩ましい日々に光明を見出すことが出来たのは、ある方がWebに挙げられていた記事でした。

リンク先:


記事を書かれたのは今津特別支援学校の福島勇先生。
障がいによる困難さのある子供たちの生活を豊かにするためのIT機器の活用についての研究や実践を行われている方です。

先生の書かれているブログは、障がい福祉の現場でIT活用に取り組んでいる者にとってはとてもためになる内容であり、且つ、一読者としても非常に面白い内容になっていますので、興味のあられる方はぜひ、お読みになってみてください。

リンク先:Sam’s e-AT Lab

先生の書かれた記事を参考に、というかそのままに必要な機器を購入。



ニンテンドースイッチに接続することで使用できるフレックスコントローラー。

機器の詳細については、福島先生の記事を読んでいただいたほうが早いのですが、まずはこのフレックスコントローラーをスイッチ本体に接続し、フレックスコントローラーのジャック部分にボタン機器を接続することで、大きなボタンを押すだけでゲームを楽しむことが出来るようになる周辺機器です。

福島先生の記事を参考に、いざセッティングを行いました。



青いボタンをAボタン、赤いボタンをLボタンに設定。
ゲームは「マリオカート8」
ステアリング操作はオートに設定。
青いボタンでアクセルのオンオフ。
ボタンから手を離すと止まってしまい、押し続ける必要があるのですが、青ボタンとフレックスコントローラーの間に咬ませたタイマー機器(写真の赤ボタンと青ボタンに挟まれた四角い機器です)の設定により、一度押してしまえば手を放しても次に押すまでボタンを押したままと同じ状態になるようにしています。
赤いボタンはアイテムの使用。
レース中に入手したアイテムをこのボタン1つ押すだけで使用できるようにしました。

まずは自分でセッティングして試してみたときはちょっとした感動でしたね。
本当に簡単なボタン操作だけで「マリオカート」を楽しむことが出来るなんて自分でセッティングして自分で感動。

職員が感動しても仕方がないので、スタッフの皆にもそれぞれ楽しんでもらいました。









時に真剣に、時に笑顔の表情でプレイを楽しんでいました。



ボタンを押すだけでカートが走り、アイテムを射出する。

普段ゲームをしている者からすれば、たったそれだけのことと思われるかもしれませんが、彼らにとってはそれがとても大きく、特別なことだったのです。

家で兄弟が遊んでいるのを見ているだけだったので、自力で出来たことが嬉しいという言葉を聞くことも出来ました。

時間をかけて悪戦苦闘しながら接続・設定しただけに、この言葉を聞いた時には私まで嬉しくなって涙が出そうになりました。


現段階ではまだ福島先生の記事をそのまま再現しただけですが、ニンテンドースイッチとフレックスコントローラーを用いることで、重度の障がいがある方々がゲームを楽しむことが出来るということが実証できました。

更にボタン機器を増やすことでアクセルやアイテム使用だけでなく、ステアリングの操作もオートだけではなく、自力で操作できるようになるかもしれません。

今回はキャラクターやステージの選択は職員が手伝って行いましたが、それも自身で出来るようになるかもしれません。

また、「マリオカート」以外のゲーム、例えば「大乱闘スマッシュブラザーズ」や、「あつまれどうぶつの森」だって楽しめるようになるかもしれません。

「スプラトゥーン」は難しそうだけど、可能性は0ではない。想像すれば可能性は無限に広がります。

スタッフ自身の声も聞きながら、いろいろな可能性にチャレンジしていきたいですね。

一方で、こういったボタン機器での簡単な操作さえ困難な方もいます。
四肢麻痺で手を伸ばすことも出来ず、軽い力でボタンを押すことも難しい・・・

そんな最重度の障がいのあるスタッフでもゲームを楽しむことが出来るように、次のステップとして目で見るだけで機器の操作が出来る、視線入力を取り入れたゲーム体験の実現に向けて動いています。

近々実践できそうなので、その時はまたご報告します!
Myself
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